部長挨拶
教授・薬剤部長のあいさつ(2022年3月)
京大病院薬剤部のホームページにお越し頂き、心よりお礼申し上げます。2021年3月1日に着任して以来、あっという間に1年が経ちました。振り返ってみると、残念ながらコロナに振り回された1年間でした。そんな状況でありますが、薬剤部の教職員や学生達に支えられて、京大病院の理念に沿った薬剤部の活動が実施できたと感じております。2022年からは、薬剤部でも新しい理念「薬学的アプローチで日常診療を変える」を掲げ、薬剤部の関係者が一丸となって更なる高みを目指しています。
先日、京大病院関連の広報誌から執筆依頼があり、薬剤部の沿革について調べる機会がありました。病院薬剤部は古くは薬局と呼ばれており、京大の場合、明治32年(1899年)の京都帝国大学医科大学附属医院の開設当時に設置され、昭和37年(1962年)に薬局から薬剤部に名称変更されました。当初は、医学部薬学科(昭和35年より薬学部に昇格)の薬剤学講座の教授が、薬局長/薬剤部長を兼任していましたが、昭和52年(1977年)に医学部教授職が薬剤部に定員配当され、翌年に堀 了平先生が初代の医学部教授・薬剤部長として着任されました。その後、乾 賢一先生、松原和夫先生が跡を継がれ、日本における医療薬学研究・薬剤師業務の新たなステージを切り拓かれてきました。
京大病院薬剤部の沿革は上述したとおりですが、元来、京都大学には自由と自主独立を許容し、重んじる学風があり、そのスピリットは薬剤部にも脈々と流れています。また、同門の多くの先生方が、国公立大学病院・薬系大学・京大関連病院の教授や薬剤部長として活躍されており、全国各地で薬学・薬剤師の発展のために新たなチャレンジが実践されています。このような歴史と風土を改めて考えてみると、新しいことへの挑戦と人材育成こそが、京大病院薬剤部の使命だと感じています。多様な価値観と個性を認めあう組織にこそ人は集まります。日本における120年以上にわたる京大病院薬剤部の伝統を継承していくとともに、薬剤部教職員・学生の一人一人がやりたいことを自由に伸ばしていける環境を整備し、新たな伝統を作り出していきたいと考えています。
さて、赴任1年目を契機に、ホームページをリニューアルすることにしました。コロナ禍でなかなか集合写真が撮れず、今回、WEB会議の画面キャプチャー風に集合写真を作成しました。また、京大病院YouTubeチャンネルの開設に伴い、薬剤部の紹介動画も作成しました。従来のFacebookに加え、TwitterやInstagramでの情報発信もしていく予定です。いずれかのメディアで、私達の活動を見守り続けて頂ければ幸いです。
京都大学医学部附属病院薬剤部
教授・薬剤部長 寺田智祐
就職・進学をお考えの方へ
京都大学医学部附属病院薬剤部では、薬剤業務・研究・教育・組織マネジメントのあらゆる過程を通じて、「病院薬剤師」の魅力を、患者さんのみならず、他の医療関係者や府民・国民の方々に伝えていきたいと考えています。
薬剤業務
安全・安心な薬物療法を提供することを心がけ、様々な部署・チーム医療への薬剤師の配置を先駆的に行ってきました。特に、全ての病棟とハイケアユニットに専任の薬剤師を配置していることや、活発な地域連携を展開していることが特徴的であります。また、未来の薬剤業務を作るためのエビデンス作りにも注力しており、診療科との協働も数多く実践しています。
研究
京都大学という恵まれた研究環境のなかで、基礎研究から臨床研究まで幅広い分野をカバーできる体制になっています。本薬剤部は、京都大学大学院医学研究科・薬剤学講座と共に、京都大学大学院薬学研究科の協力講座(医療薬剤学)を担当しています。また薬学研究科・臨床薬学教育分野とも協力しながら研究を進めています。最近は薬剤師として働きながら大学院に進学する薬剤師も増えており、自身の興味に応じて、バラエティーに富んだ研究を行っています。京大薬学部の4回生も毎年数名研究室に配属されており、それぞれの希望に応じて、研究活動に取り組んでもらっています。数多くの診療科と共同研究していることが、大きな特徴です。
教育・組織マネジメント
2019年度から薬剤師レジデント制度を開始したことが最近のトピックスです。2年間のレジデント期間修了後は、京大病院や他の大学病院で勤務しています。専門領域を究めて、認定・専門薬剤師の資格取得を目指したい場合には、先輩薬剤師や教員から、継続的な指導を受けることができます。このように、薬剤部では、教職員が一体となって、各薬剤師のキャリア・プランニングを手助けしています。一方で、全体で100人を超す大きな所帯であるため、各人のニーズにあった働き方や情報共有が大きな課題でもあります。様々な工夫を凝らしながら、家庭環境に応じた働き方ができることと、透明性の高い組織づくりに努めているところです。全ての薬剤部教職員が、やりたいことを自由に伸ばしつつ、それらのベクトルの総和が全体をさらにレベルアップさせるような舵取りを目指したいと思います。
最後に
「日本屈指の病院で自分の可能性を試してみたい。」、「薬剤師の常識を覆す仕事がしたい。」、「医師と共同研究をして未来の患者さんを救いたい。」、「将来のリーダーを目指して大きな病院で働きたい。」など、京大病院薬剤部では、皆さんの様々なニーズに対応できると思います。京大病院薬剤部に興味を持った皆さんとの新しい出会いを、心から待ち望んでいます。